イベントレポート「CHERISHED THINGS:大切なもの by Karen Richmond」

PROJECT NEWS / eden project / 2012.01.12 posted

コクヨRDIセンター、博報堂、ロンドン芸術大学の三者が提唱する新しい協創プラットフォーム「eden」。その三回目となるイベントを、去る11月25日にKREI SALONにて開催しました。

今回のゲストは、ロンドン芸術大学キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの3Dデザインコース・ディレクターであるカレン・リッチモンド氏でした。

彼女はアーティストとして「CHERISHED THINGS(大切なもの)」というプロジェクトを手がけています。
このプロジェクトは、様々なオブジェクト=ものにまつわる人々の思い出をインタビューを通じて掘り下げることで、記憶や時間、思考の中に宿るクリエイティヴィティを解き明かしていくものです。

今回のイベントはワークショップ(参加型プログラム)とダイアローグ(トークセッション)の二部構成により、プロジェクトのプロセスそのものを体験した上で、その背景やコンセプトを紐解いていく内容でした。

第一部のワークショップでは5名の一般参加者がひとつずつ自分の「大切なもの」を持ち寄りました。まずはリッチモンド氏のレクチャー。

「過去の歴史やコンテクストに目を向けることは、クリエイティヴィティに向き合うこと」
「私たちは多くのものに囲まれている。ものはアイデアや人間同士を結びつける」
「ものと記憶と経験はひと続き。ものを介せば歴史にすら触れることができる」
「さまざまなものが自分自身を形づくっている」

など、とても印象深い言葉が飛び出しました。

続いて中国で採取した事例をいくつか。文化大革命時代に全財産を詰め込んで長い道のりを旅した木箱や、古典をびっしりと書き写した紙の束、今は流通していない古い貨幣など、時を越えて過去と今の自分を結びつけるものが、所有者のポートレイトと共に画面に映し出されました。

その後は各参加者と、持ち寄ったものを介した対話の時間。

日々の思いをしたためたノートや、母の耳掻きを思い出す綿棒、最近拾ったというガスバーナー、いつも手元に持っているが滅多に使わないリップグロスなどなどが差し出されました。

リッチモンド氏は「どれも微笑ましく、ささやかな喜びを感じる。対話を通して、文字通り大切さが伝わってきた」と感想を語りました。

とても親密な空気の中でワークショップは幕を閉じ、第二部のダイアローグへ。

ワークショップの内容を踏まえて、このプロジェクトを進める上での手法や作家としての視点などについて、eden/コクヨRDIセンターの安永からリッチモンド氏へ問いかける形で進行しました。

興味深かったのは、「(プロジェクトを通して)結果はわからなくても良い」ということ。
「あらかじめ結果を予測できるのならやる意味はない。大切なのはプロセスであり、そのためにはインタビューでも心地よさを感じる以上に掘り下げて深く探っていくことを意識しているし、そのために失敗も認める」

思い出を振り返ることは一見ロマンティックにも見えますが、それは同時に奥底にある感情の渦に深く顔を埋め、時間の激流を全身で受け止める行為でもあることを、彼女の力強い言葉から思い知らされました。
そしてその勇敢な姿勢にこそクリエイティヴの本質を見出す可能性が秘められているのではないか、そんな風に感じた濃密なダイアローグでした。

普段はインタビューをする側のリッチモンド氏からも、とても刺激的な体験ができたと感想をいただき、盛況のうちに会は幕を閉じました。

edenでは、今年も形式にとらわれず多様なクリエイティヴィティが交錯する機会を多く設けていきたいと思っています。ぜひご参加ください!

http://eden-creative.tumblr.com/
 
 
[コクヨRDI センター:安永]