レポート|学童舎 無声映画上映会

EVENT / 2012.06.27 posted

客席4

先日、西麻布メンバーであるタックデザイン川口さんが主催する「学童舎」の無声映画上映会が開催されました。

受付2
川口さんはご自身の実体験から、この企画を立案されたそうです。

311以降、悲惨な報道を見るたびに元気が無くなっていくお子さんたちの姿を見て、地震被害の影響力を改めて感じていた時期、江東区で定期的に開かれている無声映画上映会にご家族で参加されました。

その時川口さんは、現代の映像技術に慣れ親しんだお子さんたちは、初めて観る色も音もない無声映画の世界をつまらなく感じるのではないか?と思ったそうです。ところが、そんな心配をよそにお子さんたちは映画にくぎ付けとなり、沢山笑い、どんどん元気になっていったそうです。

そんな姿を目の当たりにして、今こそ子供から大人まで楽しめる、世界に誇れる日本の文化である活動弁士の活動を後世に継承し、1人でも多くの方に知ってもらうべきではないか?との想いで、この上映会を開催するに至りました。

当日は、60名近くの老若男女が観覧に訪れました。

フライヤー&キャラメル

開場時間になり、続々と集まるお客様への入場のお土産には上映会のご案内とクリームキャラメル2粒。

活動弁士全盛期だった当時、映画館では売り子がおせんべいとキャラメルを売って歩いていたそうです。そんな粋な演出に、来場者もとても喜ばれ、和やかな一コマでした。

上映が開始されると、あの独特な、カタカタカタカタ、、、という16mmフィルムの流れていく音が小気味よく聞こえてきます。

フルート&ギター
そして楽団である湯浅ジョウイチさんのギターと鈴木真紀子さんのフルートが会場内に響き渡ります。

そこへ、活動弁士 澤登翠さんの優しくも力強い声が聞こえると、映像とともにぐっと引きこまれ、まるで当時の日本にタイムスリップしたかのようでした。

 
今回観賞した作品は、小津安二郎 監督 作品「生れてはみたけれど」1932年(91分)
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主人公は東京市・麻布から、大田区矢口へ引っ越しをしてきたとある家族。サラリーマンの父と小学校へ通う息子たちの日常がそこにあります。

1920年代の古き良き戦前の日本には、意外にも豊かな生活があった事がわかりました。

そして近所に住む子供たち同士の小さな抗争劇とその父親が勤める会社の同僚と重役の関係、家族ぐるみの付き合いなど、温かい心の交流がそこに描かれていました。
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この映画は見る人すべてに共通する普遍的なテーマが描かれ、投げかけられています。

上映会中は終始和やかに観賞され、笑い声も沢山聞こえてきました。

あっと言う間の91分が過ぎ、沢山の拍手とともに幕を閉じました。

会場
休憩を挟み、司会の幸田さん、学童舎代表の川口さんが登場し、上映後のトークイベントへ。

澤登さん
澤登翠さんは、世界で活躍され、数多くの賞も受賞されていらっしゃいます。映画の為に自ら解説文を書き、当時の時代背景なども説明され、活動弁士の役割や無声映画の魅力などについて熱く語っていらっしゃいました。

実は映画のセリフは決まったものをそのまま伝承しているのではなく、活動弁士の手によって演出され、それぞれのオリジナルになっている、というお話も大変興味深かったです。

澤登さんが出演される上映会の普段の客層は常連の方が圧倒的に多いそうですが、今回は無声映画と活動弁士を初めて体験する若い方が多く、感受性豊かに映画を楽しんでいたことに感激されていました。

また、映画の中に戦前の日本そのものが詰まった無声映画は、サムライや忍者といった形骸化されたイメージと現代の日本、という2つの顔しか知らないような海外の方に興味を持たれており、国内に留まらず海外のファンや研究者の方がとても多いそうです。

川口さん曰く、小津監督の16mmの無声映画に、活弁、フルートとギターの伴奏付という構成はかなり贅沢なフルコースとの事。
16mm

この贅沢な上映会を体感する事が出来、大変貴重な体験となりました。

学童舎では、伝統的な日本の文化とその魅力を後世に伝える活動をされています。今後のご活躍にもご期待ください。

フライヤー2

Photography by 加藤晋平

[コミュニティー・マネージャー:小田]